2022年に伊勢丹新宿店が主導するアップサイクルプロジェクト「デニム de ミライ~Denim Project~」に初めて『Safari』が参加し、ヤマサワプレスの取り組みに共感。
そして今回はダイバーズウォッチの名門〈エドックス〉が加わり、トリプルコラボが実現した。そこで『Safari』の榊原達弥がヤマサワプレス代表取締役、山澤亮治のもとを再訪。完成したアイテムを手に、海とデニム、そして今回のコラボについて語り合う。

『Safari』とヤマサワプレスにとって、デニムとは?

今回リリースされたコラボアイテムにおけるキーマンとなったのは、ヤマサワプレス。〈リーバイス®〉 “501®”のユーズドストックを提供することで、これまでにないダイバーズウォッチの制作をサポートした。

ヤマサワプレスは1995年に創業し、今年30周年。長年、アパレル製品のアイロンプレスや洗い、補修、検品などを手掛けてきたが、近年は〈リーバイス®〉 “501®”のユーズドストックを使用した様々なプロジェクトを展開することでも知られている。

山澤亮治(以下山澤):私がデニムを扱い始めたのは2019年のことです。それまでは安心安全な商品を世に出すための検品やプレスを行う工場だったんですよ。そんな中、売れ残りやB品が、そのまま廃棄されていく現状を目の当たりにしたんですね。

そこで、自分たちにできることはないかと思ったんです。たとえば、古着を自分たちの技術で生まれ変わらせ、新しい価値をつけられないかと考えました。それがデニムに関わることになるきっかけでしたね。

榊原達弥(以下榊原):LAに古着のリサーチに行って、汚れやダメージで使えなくなったユーズドストックのデニムの山に出会ったんでしたよね? 20トンも買い付けたとか。

山澤:一部だけ買うということができなかったので。20トンかあ……と、帰国してから1カ月くらい悩んだと思います(笑)。

私にとってのデニムはファッションを知る1つの入口で、中学生のとき、初めて古着屋さんで買ったのが〈リーバイス®〉 “501®”でした。そこからどんどん西海岸のカルチャーにはまっていって、サーフィンもするようになりましたし、自分の人生に影響を与えた大切なものなんですよ。

だから捨てられてしまうのは、すごくもったいないなと。自分の力でなんとかしたいという思いで、買うことにしたんです。『Safari』さんにとっても、デニムは大切な位置付けじゃないですか?

榊原:そうですね。西海岸の人たちが昔からみんなデニム好きだったり、〈リーバイス® 〉がサンフランシスコ発祥だったりしますから。西海岸のライフスタイルにフォーカスしている『Safari』にとって、デニムはエッセンシャルな部分ですね。ファッションにおいては、核になるアイテム、スタイルです。特集企画としても、読者からのニーズが高いので、外せないテーマとなっていますね。

デニムのほかに、『Safari』とヤマサワプレスの共通点はサーフィン。山澤も榊原も海に入るとあって、デニムと海の親和性も気になるところ。2人はどう考えているのだろうか。

山澤: デニムってやっぱり「普段着」ですよね。サーファーにとって、海に向かうのは特別なことじゃなく、普段通りの生活。となると、必然的にデニムを穿いて海に行くのかなと。

榊原:あと、海で着替えたりすると、砂がついたり、ちょっと汚れたりすることもあるじゃないですか。でも、そういうことをいちいち気にしなくていいアイテムだということもありますよね。
ちょっとした汚れも「これは、あのときついちゃったシミだな」なんて思い出のひとつになったりして。ダメージがネガティブに見えないところも、日常をともにする「普段着」としてふさわしいと思います。そうやって汚れても「ゴミ」になるのではなく、味が出て「ヴィンテージ」になっていくのがデニムのいいところではないでしょうか。

〈リーバイス®〉 “501®”を使った唯一無二のダイバーズが誕生

そんなオンもオフも海とデニムに深く関わる両者が、再び協力して生み出した〈エドックス〉とのトリプルコラボアイテム。ダイバーズの名作モデルを多く有し、過去にもデニムストラップを使った時計をリリースしている〈エドックス〉だけに、ベストマッチなコラボといえるだろう。素材を提供した山澤氏は、早速仕上がったアイテムをチェックする。

山澤:率直にかっこいいですね。この時計、私も欲しいです(笑)。デニムとレザーの組み合わせがいかにもアメカジという感じ。デニムパンツにベルトを通しているみたいですね。アーキュエットステッチがしっかり収まるようにデザインされているところにも、こだわりを感じます。

榊原:アーキュエットステッチがあしらわれたバックポケットを使うことで、ただのデニムではなく、〈リーバイス® 〉のデニムを使っていることを証明できます。それがこのコラボ最大のポイントですよね。

実は〈エドックス〉から、環境に配慮したものづくりをしたいとの提案がありまして。そこで、以前にもご一緒させていただいたヤマサワプレスさんをご紹介したんです。

山澤:私たちが時計ブランドさんに素材を提供するのは初めてなんですよ。〈エドックス〉のご担当の方は何度も足を運んでくれて、デニムの山から1つ1つ色の落ち方を確認し、ご自身の手でピッキングされていました。そのこだわりようを見て、おそらくいいものができあがるだろうとは思っていましたけど……想像以上ですね。

榊原:〈エドックス〉さんといえば、海をルーツにする時計ブランドです。その中でも傑作と名高いダイバーズ“クロノオフショア 1”にデニムをあしらうことで、より潮っぽく仕上げることができました。海に行くときはもちろん、街にいるときにもこれをつけることで、海を感じてもらえたら嬉しいですね。

山澤:なるほど。“1”の部分にあしらわれたダイヤもキラキラしていますし、高級感がありますね。うちのデニムを使っているとは思えないくらい(笑)。あと、フィット感というか、腕馴染みがいいですね。

榊原:38mmという小ぶりなケーズサイズなので、コーディネートしやすいと思いますよ。これならデニム・オン・デニムスタイルに時計で“追いデニム”しても、さりげないでしょう?

山澤:そうですね。しかも、ちょっときれいな格好に合わせたいと思ったら、レザーストラップだけでつけることもできるわけですよね。

榊原:その時々の気分や服に合わせてアレンジできるように、デニムの台座とレザーストラップ、デニムストラップが付属しています。つまり、4種類のつけ方が楽しめるんです。

榊原:今回は〈エドックス〉さんから環境に配慮したものを作りたいというテーマがあったわけですが、サステナブルという視点でいうと、時計とデニムって近いような気がします。

時計はメンテナンスしたり直しながら長く使っていくものですし、自分の子どもに受け継ぐこともありますよね。ヤマサワプレスさんのデニムへの取り組みも、直しながら使うという意味では共通している思って。

山澤:おっしゃるとおり、どちらも繋げていくものですよね。榊原さんが言ってくれたように、デニムには汚れだとかシミに自分たちの時間が刻まれているじゃないですか。一緒に時を刻むという意味では時計と同じですよね。

時計以外の〈エドックス〉コラボアイテムもリリース

榊原:前回行ったコラボ企画も大好評だったんですよ。すぐ売り切れてしまったアイテムも多くて「再販はないんですか」という問い合わせもありました。

山澤:ありがたいお話ですね。自分たちの提供した素材がいろいろなプロダクトに生まれ変わっていくのは本当に楽しみです。それが廃棄されるデニムを買い付けた目的でもあるわけですから。

榊原:そこで、今回も時計以外にいくつかのアイテムを作りました。山澤さんから見て、印象はいかがですか?

山澤:このウォッチケース、すごいですね。“501”のタグが存在感あるし、蓋にはアーキュエットステッチも。経験上、ここまでベタにやるとちょっと格好悪くなったりするものなんですが、円柱型だからかな。これはとてもスタイリッシュに感じますね。

榊原:あとはバッグですね。前回のコラボで作ったトートバッグをアップデイトしたんです。内側にポケットも備えました。

山澤:前回は普通のトートでしたが、今回はツーハンドルになっているんですね。ハンドルやパイピングのレザー部分、すごく柔らかくないですか? こんなレザーあるんですね。

榊原:そうなんです。一般的な厚さのレザーを縫いあわせるのがなかなか難しいので、強度を保ちながら、薄くすいたレザーを使って工夫しています。

山澤:そしてこのブレスレット、時計との重ね付けにぴったりですね。相性がとてもいいと思います!

榊原:一緒につけてもらうことも想定して、腕が疲れないようにシルバーのチェーンを軽めのものにしています。留め具についているのは〈エドックス〉のシンボルでもある砂時計アイコンですね。

山澤:チェーンとデニム部分は着脱できるんですね。

榊原:今、2連のブレスレットとしてつけられていますが、外すことでそれぞれ単品で使えますよ。

また、デニム部分の芯にひと回り細いチェーンを入れてありまして、エイジングして最終的に破れた部分からチラッとシルバーが見えてくるようなお楽しみも備えました。まさに時計と一緒に時を刻んでいけるようなアクセサリーになったと思います。これで今回のコラボアイテムはすべてですが、山澤さんはどれが一番好みでしたか?

山澤:みんな格好いいので、選べません(笑)。正直全部欲しいです!

サステナブルなデニムアイテムで、毎日を気持ちよく!

『Safari』とヤマサワプレス、そして〈エドックス〉。それぞれの個性を融合し、廃棄されるはずだったデニムに、新たな命を吹き込んだ3者コラボ。時計やケース、バッグにブレスレットと、アイテムのタイプは様々だが、どれもみな、海とデニムを愛する大人にふさわしいものばかりだ。

というわけで、サステナブルなライフスタイルを目指すなら、まずは身につけるものをこちらのコラボアイテムに変えてみるのはいかがだろう。大好きなデニムと一緒にいながら、環境保護にも貢献できるとあれば、いつもの時間がより豊かに感じられるのでは?