2014年で130周年を迎えたエドックス。日本で開催された130周年記念イベントに出席するため来日した、スイス・エドックス社 取締役兼セールス&マーケティング ディレクターのクリスチャン・オッツにインタビューしました。
130周年を迎えた今の心境についてお聞かせください。
エドックスは130年の歴史を持つスイスでも数少ない時計ブランドです。19世紀、20世紀、21世紀と三世紀にも渡り、途切れることなく時計を製造し続けてきたことは驚くべきことです。先人が築いてきた“歴史”は買えるものではありませんから、何物にも代えがたい贈り物だと思っています。歴史なしに我々の未来は語れません。
エドックスの注目モデルとは?
創業130周年を迎えた記念に、エドックスを大きく飛躍させた歴史的モデルを復刻させました。 当時画期的だった200m防水の「デルフィン」、500m防水を実現した「ハイドロサブ」、世界50都市の時刻表示の「ジオスコープ」、そして現在世界でも最も人気のあり、130周年を記念して限定発売した「クロノオフショア1」です。
今、世界で一番売れているモデルは何ですか?
エドックスのフラッグシップモデルでもある「クロノオフショア1」ですね。クラスワン ワールドパワーボート チャンピオンシップの公式タイミングパートナーを務めたことから誕生したこのシリーズは、世界最速のレーシングボートを操縦するオフショアパイロットのために製作されました。 パワーボートにも使用されている、チタンやスティール、カーボンファイバー、耐傷性と耐水性に優れたハイテクセラミックなどを採用しています。
ご自身が愛用しているモデルは?
クラスワンの他に普段よく着けるのは、「クロノラリー」モデルです。タフでダイナミックなラリーの世界観を時計に反映したこのシリーズは、タフでスポーティーなケース、クリーンなデザイン、特大の赤いスタート&ストップボタンが特徴的で、プロのラリードライバーが運転しながらグローブを着用したまま操作できるよう設計されています。
高級時計の魅力とは?
私が幼い頃は、ネットも携帯電話もなく、時計は時間を知るためのマストアイテムでした。しかし、近年では、スマートフォンなどで時間が分かる時代です。 人と約束の時間に会うため、必ずしも時計は必要ではありません。にもかかわらず、世界の若者を含む多くの人々が“伝統ある高級時計”に惹かれ、手に入れたいと願うのは、機械式ムーブメントの正確な技術と複雑さに魅力を感じ、宝飾品や芸術のひとつとして価値を見出しているからなのでしょう。 時代のトレンドや世界の動向は日々目まぐるしい程変化していますが、ビジネスもショッピングもすべてインターネットで行うインターネット時代の今だからこそ、価値のある時計が必要とされているのだと思います。
今後の展望は?
伝統ある腕時計は、決してデジタルな世界に代えられるものではありません。例えブルートゥースや、ワイヤレス、ホットスポットでもです。 毎日充電する必要がなく、父から息子へ世代を超えて受け継ぐことができる伝統ある腕時計は、多機能コンピュータであってはなりません。時計は、時計であり続ける必要があります。それ以上でもそれ以下でもありません。 私は、先人が築いてきた時計製造の“伝統”に基づく姿勢や考え方が、エドックスの未来を示していると考えています。
Christian Hotz / クリスチャン・オッツ Profile
エドックス社 取締役 兼 セールス&マーケティング ディレクター
長年の時計業界での経験を生かし、エドックスの新コレクションやプロジェクトを指揮。
マーケティング、デザイン、開発、世界戦略などエドックス全般を手掛けている。