各界の第一線で活躍する著名人へのインタビューによる連載コラム“エドックスラヴァーズ”。
プロフェッショナルな仕事へのこだわりや、彼らの愛用ウォッチなどに迫ります。
今月は、人気セレクトショップBEAMSのドレスセクションを統括するクリエイティブディレクターであり、雑誌での連載や自身のブログ・SNSなどでも最旬トレンドを発信しトレンドを牽引されている、中村達也氏です。
物心ついた頃から洋服が好き
今のご職業を選ばれたきっかけは何ですか?
父方の祖父は靴職人、母の実家は生地屋という環境で、生まれたときから洋服に囲まれて育ったんです。ですから、物心ついた頃から洋服が好きでしたね。東京に上京後は、洋服屋さん巡りをしたり、ウィンドーショッピングをよくしていました。大学4年生の就職活動で将来について考えたとき、一番好きな服で溢れていたBEAMSで仕事をしたいと思って、迷わず一本勝負しました。学生でしたから大きな志もなく、趣味が仕事になったような感じでした。
普段大事にしていることや、心掛けていることはありますか?
我々のようなファッション業界で仕事をしていると、どうしても頭でっかちになりがちですが、本来、洋服も食も住もライフスタイルの一つだと思うんです。例えば、所有している車はすごく高価なのに、食事はいつもコンビニ弁当・・・というのはやはりアンバランスで、私はそこに違和感を感じてしまいます。ですから、実際にBEAMSで買われる方がどんな格好をされているのか、どんな場所に行くのか、街行く人が今どんな格好をしているのか目を配ってしまいますね。
それから、ライフスタイルの中で、僕は特に“食”が好きなんですが、食事に行くとき、どんな雰囲気の店で、どんなお客さんが、どんな格好で来るのかなど、様々なヒト・モノ・コトを観察するのが習慣になっています。それが自分の仕事の参考になっています。
時間を知る以上の価値
ファッションにおいて時計とは?
今でこそ、メンズでも腕につけるアクセサリーが多くなりましたが、そもそも男にとって時計は唯一のアクセサリーでした。今や時間を知るだけならスマホで事足りる時代ですが、時計は時間を知る以上の価値がある。シンプルなTシャツに、イイ時計をするだけでスタイルがまとまり完成したりもします。
僕らにとって男の持ち物としては最重要アイテムといってもいいのではないでしょうか。
ちょっとだけ背伸びする
モノ選びのポイントやアドバイスをお願いします
背伸びしすぎないことですね。そして、ちょっと背伸びすること。お洒落を追及してちょっと頑張れば買えるものを手に入れて、生活していくと、やがて身につき成長に繋がるものです。それに合わせてメンタリティもついてくる。仕事も同じです。一番良くないと思うのは、今先立つものがないのに背伸びをし過ぎて、その他を我慢すること。それでは成長もしないと思うのです。
ブルーのシンプルダイバーズ
EDOXを監修するに至った経緯とこだわりを教えてください
シンプルなブルー文字盤のダイバーズを欲しいと思ったのですが、EDOXにはブラック文字盤のダイバーズイしかなかったので。それなら、こんなイメージのブルー文字盤のダイバーズウォッチを、ブルーのラバーストラップで製作できないか、とメーカーさんにオファーしました。本格的な300m防水なのも魅力ですね。ちょうどBEAMS40周年でもあったので、サイドに40周年ロゴを入れて、インデックス1には鮮やかなブルーを採用し、約1年越しに実現しました。絶妙なブルートーンには特にこだわりました。
今日の着こなしのようなジャケットスタイルにも、カジュアルな休日スタイルにも、幅広い着こなしに合う時計だと思います。セラミックベゼルの光沢感もガンメタルのようなカッコよさがあって気に入っています。
商品名:クロノオフショア1 オートマチック ビームス限定モデル
半歩先を提案する
40周年を迎えて一言お願いします
僕自身もBEAMS歴30年になりまして。会社は大きく成長しましたが、洋服に対して深く考え、仕入れたり、企画したり、自分の仕事や姿勢は入社当時からあまり変わっていないように感じます。長くやっていると周りが見えなくなったり、独りよがりになったり陳腐化してしまうものですが、私達が携わっている部門では、洋服は半歩先を提案することを考えています。今後もそのスピリットを見失わず、お客様に喜ばれることを一番にこれからもやっていきたいですね。
中村 達也 Profile
1963年生まれ。BEAMS SHIBUYA, BEAMS F店長、BEAMS Fバイヤーを経て、現在BEAMSのドレスセクションを統括するクリエイティブディレクター。
オフィシャルブログ『ELEMENTS OF STYLE』
Photography:Yoshinori Eto
Special Thanks:BEAMS HOUSE MARUNOUCHI